秋が深まってくると、本が読みたくなりませんか。
そして、読書について考える。
うちの子、なぜ本を読まないのかしら。
本ならいくらでも買ってあげるから、読者して欲しいわ。
そんな保護者さんたちの切実な願いが聞こえてきます。
ここでは、子供を読書好きにするために親は何をしたらいいのか、短く、具体的にご紹介していきます。
Contents
子供を読書好きにするために親ができる4つのこと

①読み聞かせ
子供は、親と共に時間を過ごすことが大好きです。
親がキッチンで料理をしていても、居間でアイロンをかけていても、そばに居られれば、安心するものです。
それが、特に、読み聞かせのように、自分のことだけに集中してくれるなんて、喜ばない子供はいません。
紙芝居を読むように対面でもいいですが、時には、親は自分の方に本を向けて、本との間に子供を入れてやるようにすると、子供は親にすがったり、膝に乗ったりして、その時間を満喫します。
妹弟に親の膝をとられてしまった上の子供たちも、親の背や肩に寄り添って、親の体の温もりと声の響きを楽しむのです。
②本を与える
子供が欲しがった本だけでなく、親のお薦めの本、何を読ませたらいいか分からなかったら、いわゆる名作。
名作といわれている本は、固い内容で退屈そう…。と思われるかもしれませんが、名作は名作。
やはり読んでおいて間違いはありません。
その時は良さが分からなくても、いつか腑に落ちる時が来る、もう一度読み返したくなったり、ふと手に取ったりした時に、また違った景色に出会えます。
違った点でうなずけたりします。
何度読んでも、違う角度から語り掛けてくるのが名作の良さです。
名作を読み、言語能力を養ってもらいたい。
知的能力の中核は言語能力といえます。
いわゆる頭がいいとか、高い知能を持っていると言われているのは、言語を思考の道具として自由に使いこなすこと、概念を操作できる能力が優れているということです。
この能力は、言語環境と学習によって決まってきます。
国語や社会科のように文章を読み解いていく学習のみならず、数学や理科のような理系の学習においても、言語能力がものをいいます。
問題文をきちんと読み取って、その文章の中から場面をイメージしたり図や式として抽象化したりするのは、読書することによって鍛えられる力を要します。
⓷図書館を活用
地域には、図書館があります。
図書館では、みんなの興味がわくように、ディスプレイや紹介本で季節感を出したり、その時期に起きた出来事などから、事件や史実に因んだ本をまとめて展示していたりします。
掲示物もきれいで、椅子や机の素材や配置もくふうされています。
司書さんたちもとても親切にアドバイスをくださったり、探したい本をぼんやりとでも伝えると、一緒に探してくださったりします。
お子さんが小学生やそれ以下なら、絵本コーナーも充実しています。
8靴を脱いでくつろげるスペースを設けているところも多く、みんな、思い思いのスタイルで読んでいます。
月に何度か、ジャンルや対象年齢を決めて読み聞かせもあります。
図書館カレンダーをもらって、子供に勧めたり、予定が合えばご自身でも行ってみてください。
プロ(読み聞かせだけのプロではありませんが)による読み聞かせは、大人の心にも響きますし、自分が次に子供に読んでやる際に参考になります。
ボランティアさんによる「語り聞かせ」というのを聞いたことがありますが、気持ちがこもっているけれど、決して押しつけがましくなく、温かい語り口で感動しました。
「語り」ですから、読むのではなく頭にあるお話を何も見ないで語ってくださるのです。
昔、父が寝る前に枕もとで聞かせてくれたような、本ではなく、人の体からお話が湧いて出るような生き生きとした印象があります。
「暗記しました」感はまるでなく、すらすらと自然にいろいろな場面の展開や長い外国の人名が何人も出てきて、すごいなあ、お話がすっかり丸ごと頭に入っているのだなあと感心しました。
大人にも子どもにも、図書館はお薦めです。
④親自身が本を読む
子供は、「親がしなさいということはなかなかしないが、親がすることはする」とよく言いますよね。
子供に読書を勧めるなら、大人も読んでみましょう。
働いて帰って、家事もあって、子供の世話もして、ゆっくり本を読む時間などない。
子供に良いことを勧めるのに、何もかも大人が率先してしなければならないのか?
と言われてしまいそう。
確かに、大人と子供の生活はまるで違いますから、子供の言うことを大人がすべてやって見せる必要はありません。
ですが、子供は親のことが大好き。
何でもよく見ています。
だからこそ、ここは子供のために、ちょっと理知的な大人を装いませんか。
そう、初めは「装う」だけでも構いません。
仕事や社会の人間関係のストレス解消に、家でゲームしたい、ソファにごろんと横になりたい。
それも分かりますが、その時間を半分だけ使って「読書好き」を装ってください。
子供と図書館へ行ったついでに本を借りたり、駅で見つけた推理小説を買ってみたり、仕事に関する資料でも構いません。
いつも何か読みかけの本をそばに置いて、家事やくつろぎの途中に読んでいる姿を見せてください。
そして、「へ~」とか「ああ、そうか。分かった」とか、独り言ちてください。
時には笑ってください。
子供は、親が本から何かためになることやおもしろいことを吸収していることを知ります。
真似をしたくなります。
大人も、読書好きを「装う」のではなく、だんだん本当に続きが読みたくなります。
疲れているのに本なんて読めない…ではなく、読書は子供のためになる、だけでもなく、本を読むことは大人の心も癒してくれます。
医療の世界には、「読書療法(Bibliotherapy)]があるくらいだからです。
心の中にある感情をに気づいてそれを理解し、状況に合うように適切に表現することは、社会生活を正常に行う上でとても大切なことです。
人とコミュニケーションをとるにも、仕事を論理立てて処理し、他者に発信するにも、すべて言葉が素地になっていますね。
日々いろいろな場面で、起こる出来事に対処する、先を読む力、仮にこのようにした場合どのような結果が予想されるのかといったシミュレーションする力も、他者を理解する、いわゆる相手の立場に立って物を言うということも言語能力の賜物といえるでしょう。
まとめ

時代は、紙の本や事典から、パソコンやタブレットといったメディアに情報源が取って代わってしまいつつありますが、やはり、得た情報を受け止めて活用するのは、文章を読み、理解する力です。
本を読むことは、本来楽しいことです。
保育園、幼稚園の小さな子供はみんな、保育士のお話が大好きです。
小学生だって、学校での国語の時間に組み込まれている、図書室を利用する時間をみんな楽しみにしています。
だから、家庭でも、ほんの少し大人が気を付けて本に触れる環境を整えてやれば、子供は間違いなく読書に興味をもつでしょう。
「うちの子は本を読まない」と嘆く前に、ご家庭の環境を振り返り、ご自分の生活を見直し、少しでも本の楽しさを子供と共に分かち合える雰囲気をつくってみませんか。
子供のために、自分自身のために、行動することで、生活の仕方を少し変えることで、心と頭に栄養を与えましょう。
身近に本のある、生活リズムの中に「読む」時間のある毎日を、大人が作っていきましょう。