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生分解性プラスチックって分かりやすく言うと何?分解されてどうなるの?実用化に向けて課題は?

生分解性プラスチックって分かりやすく言うと何?分解されてどうなるの?実用化に向けて課題は?
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近頃よく耳にする生分解性プラスチックとは、分かりやすく言うと一体何なのでしょう?

名前からすると分解されるプラスチックですよね。

何からできていて、どうやって分解されて、その後どうなるのでしょうか?

生分解性プラスチックって、完璧?実用化に向けて課題は無いのでしょうか?

石油からできたプラスチックが本格的に使われるようになって60年以上と言われています。

プラスチックは軽くて、いろんな形や色に加工され、生活のあらゆる場面でつかわれてきました。

その使用量は年々増大し、当然ながら捨てられる量も並行して増え、廃棄物として処理することができなくなっています。

海洋プラスチック汚染などが深刻な問題となっていることは、広く知られています。

今、注目を集めている「生分解性プラスチック」が、いよいよ本格的実用化される時代を迎えています。

このような流れにある今だからこそ、持続可能な開発目標(SDGs)としての生分解性プラスチックが、いったいどんなもので、わたしたちに何をしてくれるのかを再確認していかなければなりません。

生分解性プラスチックとは分かりやすく言うと何なのか、分解されてどうなるのか、実用化に向けて生分解性プラスチックの課題は何かを調べてみました。

 

Contents

生分解性プラスチックって分かりやすく言うと何?

生分解性プラスチックとは、自然の中で微生物によって、環境に影響を与えないほど小さな分子化合物に分解されるプラスチックのことです。

ポリ乳酸(トウモロコシのでんぷん由来)の生分解性プラスチックは、CD、パソコン、パッケージに用いられます。

よく言うバイオマスプラスチックはバイオマス、つまり植物由来の材料(トウモロコシ等を原料とするポリ乳酸やでんぷん)を主成分として作られるプラスチックのことです。

バイオマスプラスチックの性質に注目した呼称が、生分解性プラスチックとも言えます。

 

生分解性プラスチックは分解されてどうなるの?

生分解性プラスチックは、焼却せずに、微生物の力だけで、最終的に二酸化炭素と水にまで分解されます。

「二酸化炭素と水」のところをもう少し詳しく言うなら、自然的副産物(炭酸ガス、メタン、水、バイオマスなど)と言い換えられます。

土の中の微生物はでんぷんやセルロースなどの天然の高分子を分解できるので、自然界にある再生可能な天然高分子なら、生分解性プラスチックの原料となることができます。

その原料は、①微生物が作る、生分解性合成高分子
②植物や動物にからできる天然高分子

に分類できます。

さらに、グリーンプラマークの基準では、通常のプラスチックと同じように使うことができ、使用後は自然界に存在する微生物のはたらきで、最終的に水と二酸化炭素に分解されることが条件になります。

 

生分解性プラスチックの実用化に向けての課題は?

耐久性、機能性

使っている時、保管している間に分解が進み、使えなくなってしまう例がありました。

環境に優しい素材を使った印鑑登録書のカードが、発行して何年かして分解されてしまったため、急遽従来のプラスチックに戻さざるを得なくなりました。

 

分解の条件

生分解性プラスチックの中でも、海の中でも分解されるものは限られています。

例えば、ポリ乳酸はコンポストの中では分解しますが、海の中だとほとんど分解しません。

また、海洋マイクロプラスチックの影響については、十分な調査結果が得られていません。

微生物が分解するので、埋め立て処理などをする場合は、その時の微生物の状態、温度や天候などによって分解がどの程度進むのか分からないと言えます。

 

価格

継続して使用する際に大きく立ちはだかるのが、価格の壁でしょう。

ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)は、上記の条件を満たし、海の中でも微生物で分解されますが、ポリエチレン、ポリプロピレンといった従来のプラスチックより高価です。

生分解性プラスチックの価格は1kg当たり1000円くらいします。

ポリプロピレンやポリエチレンが100円前後ですから、現在の段階ではおよそ10倍もすることになります。

 

 

まとめ

生分解性プラスチックとは分かりやすく言うと何なのか、分解されてどうなるのか、実用化に向けて現在の課題は何なのかお伝えしました。

生分解性プラスチックとは、廃棄後、コンポストなど微生物のいる環境で水と二酸化炭素に分解され、自然に還る素材のことです。

たい肥化されるため、地球環境に優しい素材と言えるでしょう。

例えばトウモロコシのでんぷんからできた「ポリ乳酸樹脂(PLA)」 は、80%が乳酸からできています。

乳酸はヒトの体や食品にも多く含まれているため、人体に害はありません。

生分解性プラスチックに働きかけることのできる微生物は特殊なものではなく、一般に、どこにでも存在しているものです。

上記の「課題」で申しました海での分解のことですが、生分解性プラスチックにも多様性が示されており、海水においても分解される性質をもつものも開発されています。

大きなハードルとも言える価格についても、主な原料を大豆油として、製法の簡単さゆえ、今までの従来のプラスチックと同じ、またはそれより安く製造コストを抑えられるものさえ開発されました。

また、アメリカで、大規模なポリ乳酸製造プラントを建設中です。

国内でも各メーカーの増産計画が進んでいて、将来は今のポリエステルくらいまで値段を落とせると予想されているのです。

生分解性プラスチックが分かりやすく言うと何で、どのように分解されるのか、実用化に向けて課題は何なのか、さらにその課題にも明るい希望が見え始めていること、分かっていただけましたか。

今や、プラスチック商品を手に取るときに、何由来なのか、廃棄した後どうなるのかというところまで考えるのが当然、という時代なのですね。